戦跡を訪ねる、その3

今年、久しぶりに会った現地の友人が車を走らせ連れてきてくれたのがPantai Sabak、日本軍が1941年12月8日未明に上陸を開始したところだった。

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訪ねた季節がよかったこともあり、とても穏やかだった。

一見朽ち果てたような2階建ての建物では、マレーのおばちゃんが飲み物を提供していた。窓なんてない。海風が直に吹き込む。椅子はガタガタだしテーブルも古く、何ならちょっと汚いけれど、私にとって、今まで座ったどんな席よりもいいところだった。

 

こんな平和的な場所で、75年前に日本軍が上陸し、イギリス軍と戦いを交え、たくさんの血が流れ、多くのものが破壊されたのかと思うと・・・なんともいえない気持ちになった。当時波が高く、上陸は困難であったようだ。それもそのはず、その時期のマレー半島東海岸は雨季にあたる。

以前はここにも戦争の遺物があったそうだが、ほぼ水没してしまっている。戦争の爪痕の一片も窺い知れない。今はただローカルが、昼間の暑さをようやく抜け出し夕涼みをする場所となっている。友人も、久しぶりに会った私に、この平穏な美しい景色を見せるためだけに連れてきたに違いなかった。

 

ところで、この海岸の景色がすっかり気に入ってしまった私は、秋にローカルバスに乗り自力で再び訪れた。前に来たところと同じ場所に到着できると思っていたのだが、まったく違うところにたどり着いてしまった。

あれ・・・前に来たところはもっとすてきなところだったんだけど・・・。

季節が違うからというのもあると思うんだけど、やっぱりローカルの人は、いいところを知っているもんなんだなーと思った。

 

おしまい。